コロナ禍で変わる家づくりについて考えてみた
今年のコロナ禍は、リモートワークに代表されるように働き方に影響を与え、住まいと人間のあり方にも大きな変容を迫っているのは確かです。コロナ禍の前には、コミュニケーションをとるには相対することは当然のことであり、端末はあくまで連絡を取り合うデバイスの1つでしかありませんでした。ところが、人間が一堂に会するという経済活動の当たり前のスタイルが、ウイルス感染リスクを高める事実は生活様式を一変させることになったわけです。通勤電車にゆられて、時には残業をこなして帰宅途中に飲食店に立ち寄るといった、これまでは当たり前でむしろ好意的に取られてきた振る舞いの数々が、感染拡大のリスクを孕むものとして回避が推奨されることになりました。新しい生活様式という言葉に象徴されるコロナ禍の襲来は、テレワークの普及とともに家選びや家づくりにも影響を与えるようになってきていると言えるでしょう。テレワークが普及すれば、一時にオフィスに出社せずに、インターネットなどを介して必要な情報のやりとりを行い、業務報告もすべて自宅から実施することになります。そのため、家選びにおいては従来のように、職場との交通アクセスのよさの重要度は低下する、というケースも少なくありません。人口密度が高い大都市はコロナ感染リスクの高さが意識され、従来ほどの住宅需要は見込めなくなる可能性があります。新型コロナ感染症は基本的に都市で流行する特徴があります。つまり、大都市に生活の本拠を構えること自体がリスクとなりかねないので、東京を脱出して地方に移住し新たな家選びを物色する方も少なくありません。さらにこれからの家づくりに向き合うときでも、居住性能のひとつに、衛生的で抗ウイルスを意識した設備や素材選びに関心が集まるでしょう。例えば抗ウイルスで繁殖抑制作用のあるヒアK利触媒を用いたコーティング剤が注目を集めるというのも、衛生的な家づくりが強く意識されていることの証明と言えます。そして、飛沫感染する新型コロナウイルスは、家庭における換気の重要性を再認識させることになりました。換気性能を上げるための換気設備の見直しや、開閉しやすい窓の設置などは今後の抗ウイルスを踏まえて衛生的な日常生活を維持する上での重要なポイントになります。冬場では窓を開けることに抵抗があるような地方でお住まいであれば、窓以外に屋内の空気を対流させないための換気機器を新たに設置する必要が出てくるかもしれません。コロナ禍に直面し、家選びや家づくりは変容を迫られています。衛生的で感染リスクの少ない生活のために何が出来るか、一人ひとりが考える必要がある事態となっているのです。